●まずROS2の特徴
ROS(ROS1)世代とROS2世代の大きな違いは「産業っを視野に入れた」ことであろう。
ROSでは、主に「潤沢な処理能力を持つ中央の計算機」のみ、または「そこそこの能力を持つシングルボード」との組み合わせでの駆動が多かったのだが、ROS2では本格的にメカトロ領域への進出を意識しだしたともいえよう。
あらゆるメカトロ製品がITにつながり価値を出そうとしている中、IT側からも歩み寄って言っている形なのかもしれない。
●そしてmROS2とは
2024年現在、昨今流行っているのは「コンテンツを売る」というビジネスモデル。
コンテンツ、つまり「事売り」と言われているもの一環で、「それがあることでどんな人生になるのか」ということを主眼に置いた商売方法を考えた結果、付加価値=便利さを強化しよう、という方向性において着目されているものですね。
付加価値、なんて言葉は「付加価値通信網(VAN)以降、ITの世界では適用範囲や言葉を変えつつずと言われていることではあるが、ことに
「IoT」(モノのインターネットという訳は心底センスがないと思うが)という言葉より、その対象が「物理世界に直接影響を及ぼすものになってきた。
つまり、IT技術がメカトロ分野に入ってきた、ということ。
逆もしかりで、メカトロへのIT技術の導入、これが今のコト売りとか、車ならばSDVとかいう言葉の1つの姿である。
ROS2の世界において、これをつなぐのがmROS2なのである。
別にmROS2でなくてもいいのだが、それをモジュールとして提供していることで
「ROS2で考えたことを何とかして通信で各コンピュータに渡して分散処理する」
が
「ROS2で考えたことをmROS2で各コンピュータに持ってきて分散処理をする」
まで簡単にしたものである。
(赤色部分が「自分が作らなければならないところ」で太線が「本来作成者が興味があるところ」)
●課題
これはROS2も共通ではあるが、
一方で、ITが、IoT(家電)、SDV(モビリティー)と入っていくと、要求レベルが変わってくる。
つまり「パソコン」は「時間の遅延は待てばよい」「保証はなくても死にはしないからよい」が、
家電は「最悪壊れても火は出してはならない」「多少遅いくらいならばユーザーがイラっとする程度」
モビリティーは「壊れたら人が死ぬ」「遅れたら人が死ぬ」
わけである。
しかも、同じモビリティーでも
軍用品や飛行機ならば「専用のメンテを受けたモノを専用の訓練を受けた人が使う。何ならその場で治せる」
商用トラックやバスは「少なくてもそれなりの訓練を受けたプロが扱う。何かあってもワンチャン対処可能。」
が
乗用車は「構造も知らないド素人が扱う。何かあったらどうしたらいいか、すらわからない人が使っている」
ので、それこそ「故障や不具合」を「人が操作してリカバリー」することは望めない。
これをどう突破できるかが今皆が知恵を絞っているところであるという認識。