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ベンツに乗ってみて・・・W204 C200はいい車か?

結論、いい車の一つの形ではある。一言で表すなら「人馬車一体」です。

2020/6/12 加筆


クルマ紹介で書いたように、私にとってこの車はベンツであること、5人乗りであること以上に特に価値はない車である

なにしろ、今回ベンツを買うまで、C200とかW204っていう言葉が何か知らなかった。
そして、私の頭の中の構成はいまだ「FC君」「ジムニー」「NA」「ベンツ」・・・
・・・ベンツだけ車名じゃないじゃん!社名じゃん!
・・・大丈夫だ、私にかかればレクサスも「レクサス」でひとまとまりだ。(大丈夫じゃねぇぇぇぇ)

まさしく、今回、一生に一回は好き放題「ベンツ」に乗りたくて「ベンツ」を買ったわけである。

買った理由:
小さいとき、親や祖父母が「おベンツ様」呼ばわりして、なんか「おベンツで送ってもらった」「誰々さんがおベンツを買ったらしい」と言ってたんで、
じゃあ一回は自分のうちの車としてベンツを買っちゃるか。というノリ。

近所の人とも、ベンツ呼ばわりされながら「私もベンツ以上のこまかいことはあまり知らず買っちゃいました」とか笑いあっている状態。

なので、この記事にC200の賛美を求めている方は見ない方がよい。
自慢じゃないか、私は誰から金をもらっているわけではないんで、どの評論家よりも悪いところは悪いと書くつもりだ。




●総評


私がこのベンツに受けた印象は

「人馬車一体」


もちろん、かの有名なマツダのキャッチフレーズのパクリの表現です。

マツダのような、車と一体化し、車が手足のように動き、手足を動かすのが楽しい。そういった感覚は全くない。
だが、それが必ずしも、悪い・劣っているわけではないと感じます。

まるで、長年雇い続けて、わずかな雇い主の動作から意図を汲んでくれる優れた御者が御している馬車のような車です。
最初に乗った時からFCに乗っているかのように取り扱いやすい。でも一体感はない。楽しさもない。
でも、思ったところに行ってくれはする。疲れも少ない。こういうものだと思えば不満はあまりない。不思議な感覚です。
AからB地点までなるべく疲れず移動できる手段として最適化されている、といった感じです


そしてそのエンブレムは、まるで有名貴族の馬車についた家紋や装飾のように、ちょっかいを出してくる輩を遠ざけてくれる。
RX-7にゆっくり乗っていると本当に待ってましたとばかりにミニバンどもが煽ってくるのだが、この車に乗ると全く煽られない。


※世の中のミニバン煽り小僧君たちが、どんだけイキリ小心ドライバーどもなんだって感じですけどね(苦笑)。
 ほんと、はたから見てカッコ悪いからやめたほうがいいよ。
 飲み会で偉そう垂れているくせに、上司に面と向かって何も言えない小心リーマンのようなかっこ悪さだよ。
 後、私は、煽られたと感じた時の動画、最近全部取ってあるんで、そのうち無修正公開しようと思ってるから。



●各論、エクステリア・・・
なかなか秀逸です
何もない平面を感じさせないデザインになっていますね
例えばフロントタイヤの上。
205−55R16という比較的今となっては小さなタイヤながら、オーバーフェンダーっぽいラインを作って、
斜めなカットにする+曲げ加工でフェンダーラインを出すころで、エンジンフードの高さを感じさせない。
日産やトヨタではここがだうーんと曲面でつながってしまい、えらく間延びして見える。
マツダのRX7-FCやRX-8は同じくここの処理が非常にうまい。だから美しく見える。


また、リアタイヤからCピラーまでの空間も、元だーを少し出すのと、途中で横にラインを入れ、空間を縦方向に3分割し広く見せない。
RX-8と同じような造形、
最近のマツダだと、これを光の反射の造形でこれを表現している。
ここもトヨタが特に不得意なようで、何しろこの部分がダヨーンとだだっぴろい何もない空間が広がっているように見えてしまう。



●インテリア。
見栄えについては絶妙です。
たぶん、このインテリアに勝負できるデザインができているのは日本車だとマツダくらいだと思います。


ただ、細部を見れば決して質感はよいとは言えません。
プラスチック、安っぽい表面加工。

しかし、デザインがうまく、そういう細かい安っぽいところに目をいかせないようになっているのか、実際気にならない。
これがトヨタだと全然ダメで、もう、助手席なんてのぺーっとしたプラスチックの質の悪さが目立ってしまう。。
全体のデザインのまとまりがなくて部品部品に目が行ってしまう。

どうしてなのか私にはよくわからず、この感想を少しデザインに詳しいものにぶつけてみると、目線を誘導するような仕組まれデザインをしているとのこと。
ラインの入れ方が絶妙で、つながっているように見せたい部分、区別して認識させたい部分を演出しており、
たとえば、ドアから助手席ダッシュまではつながりがあるが、ダッシュの中ほどで上下に仕切るラインがあり、またそれはセンターコンソール手前で消えて行っている
また、その下には少し奥まってグローブボックスがあるため、縦の連続性が2か所で切れていて、ここは違う空間だと認識させている。何もない広い面積が感じられないので素材に目がいかないのであろうとのこと。
なので、縦方向に間延びして見えない。視線は横で細くつながっていると認識するらしい。

ハンドルも、エアバッグの部分がどうしても大きくなってしまう。ここからただ滑らかにステアリングホイールにつなげると、でっぷりしてしまう。
だが、上にはうっすら縦線を入れ、ステアホイールにつながるスポークは細く絞り込み、かつ、面的に段差をつけることで、エアバッグのどっぷりした部分を目立たせずシャープに見せているのだろうとのこと。



メーターは逆。
メーター、周りはただの黒い板だが、メーターをシルバーのリングで囲い、かつライトグレーの指示板を使い、また中を黒基調にしてシックな時計なようにそこだけを目立たせ、 黒い空間があたかも「そんなものはない」ように見せているのではないかとのこと。



間違いなくわざと意図を込めてやっていて、猿真似ではない。これをまねしても、意図がわかっていないとその意図は実現できないだろうとのことでした。

で、これはMAZDA3の設計にも通じるところがあって、マツダもプレスチックを安っぽく見せない。
たとえば最近マツダが推しているところでいうと、MAZDA3の光の造形、反射光の設計。リアクオーターの部分、ただそのままだったら間延びしてしまっているように見えているのが、光の反射を設計することでそう見せない、躍動的に見せるという効果が出るのだろうとのこと。
対向するのがトヨタのアクア。リアクオーターはいかにも間延びしかっこ悪い。決して平面ではないのに、はたから見て間延びした平面に見えてしまう
私はMR-Sをじっくり乗ったことはないのだが、ロードスターとMR-Sを上げて、土屋圭一さんが「MR-Sが安っぽく見えてしまう。金回りが悪く見えてしまう」と評したのも同じなんだろうなと思う。



●走り その前に、あまり関係ないのだが、スペックでさすがだと思うところ。
ラインナップの上下がちゃんとわかるようになっている。
日本車のあるあるなのかな?日産の某世界戦略車では、2.0ターボと2.5自然吸気、2.0の自然吸気が存在する。
実際はおそらく2.0ターボの方が出力が高くトップグレードだと思われるのだが、
出力と排気量が客転しており、2.5と2.0ターボの位置づけがいまいちよくわからない。
少なくてもCシリーズはそういうことはない。
素直にでかい数字が偉い・・・まぁ、車なので、別にえらいわけではないが上級グレード。



特徴は非常にもっさい。遅くはない。しかし、すごいスロットルなまし制御が入っている
おかげで、細かいところで「意のままにならない」。

で、走りであるが、まず、ずばっと、車との一体感については、マツダ車の勝ち。
日産と同じくらい。トヨタよりは一体感はいい。
実際悪くはないんですよ。でもね、細かい万マシンインターフェイスが行き届いていなくて、マツダ車に劣る
極端、マツダ3にも劣る。
いうなれば、マツダ車は人馬一体。C200は人と馬車が一体、という感じ。

まず、一番分かりやすいのは窓のコントロールスイッチの位置とクルーズスイッチの位置。
手を自然に置いたところに窓のスイッチがない。えらい前方にある。
そして、クルーズスイッチはウインカーやワイパーの集中スイッチのすぐ上、同じ方向に出ている。紛らわしい。
それならいっそのこと、ステアリングホイールにスイッチ配置してくれればよいものを。




●走り:パワートレイン編

走りの項目で触れたが非常にもっさい。


駆動力のコントロールのしやすさ・・・は正直しにくい。でも、昨今のハイブリットほどではない。
滑るように発信し、滑らかに、とことん滑らかに、かつ十分なパワーで、という意味では非常にうまくまとまっている。

人馬一体感は全くない。人馬一体という言葉に対するマッチングはマツダに軍配が上がる。

言ってみれば、間に誰かが、または何かが挟まっているような操作感・レスポンスで、いうなれば自分の好みを知っている優れた御者がついている馬車に乗っているようである。
人馬者一体というところだろうか。


パワーユニットの応答は国産車だと日産車に似ているように感じる。
落ち着いていて、踏み込むとウエットにうなってトルクで引っ張るような印象がある。
ATは、まさにCVTのようである。変速ショックは小さく、騒がしくない。
それも、日産でいえばパスファインダー、QX60といったような大排気量CVTのイメージ。
まずトルクが出る、そのあとゆっくりシフトダウンする。おかげで非常になめらかで不快感がない。
ただ、では加速しないかというと、ちゃんと最初のトルクで加速してくれる、その辺の組み合わせもいいのだと思う。

パワートレイン、特にATについては私は専門分野であることもあり、一家言ある。
そもそも、私はATに乗るのであれば、マニュアルのような騒がしい変速は不要、マニュアルシフトもギアキープしたい理由以外では全部機械任せにしたく、それ以上人間がいじりたいのであれば、MTまたはセミオートのようなミッションに乗ればよい、と思っている。
私から言わせれば、楽をしたいのか自分で好きにしたいのかはっきりしろというところである。中途半端の奴は何をやっても中途半端なのである。
よって、私はMモードなどついていても、変速段キープのため以外、使わない。
最近の日産車に多いが、CVTにATのような変速演出など不要だと考えるしCVTであるのであればその特性をフルに生かして、私が要求する推力を最適に出してくれればそれでよいのだ。
そういう意味でも、このミッションは非常に良いと思う

昨今あおり運転とか問題になっているが、この車であおるのは、「あえて車が不得意なことをやっている」としか言えず、非常に気疲れするので、私なんかはやる気にもならない。
イラっとするくらい遅いのであれば、黙って抜いていくタイプの車なのだ。


●走り:足回り編

繰り返し言うが、非常にもっさい。ただ、スタビリティーはすごい高い。挙動もわかりやすい。
あと、インフォメーションが足りない。


足回りは非常にいい。
スタビリティーと言っているだけあって、確かにそう思う。

ただ、決して万能化というとそうではない。素早い姿勢制御が得意ではなさそうである。切込みはマツダなんかの方が早いですし、日本のように狭いところを車列をひらひら縫うような乗り方は合わないサスペンションだと思う。
どうしてもハンドルを切る際にワンテンポ、体が遅れる感がある。そのあとの落ち着きがいいのでそれが普段の運転ではマイナスになっていないだけで。
また、猫足、はいいのだが、ちょっと日本の路面に対してはスポイルしすぎてしまっている。
おそらく、ヨーロッパの石畳路(ビリジアン路とか言われたりする)を前提にするとこうなるのだろうが、日本はもっと路面がいいので、スポーツカー乗り的にはもう少しインフォメーションが欲しくてさみしくなったりする。

もっとも、ベンツに乗る人はそんな乗り方しない、とも言われそうだが、そういう感情論的な意見で終わらせては話にならないのであえて言っている。 しかし、総じて、そういう好みや方向性の違いはあるとして、これに追いつけるのは日本車では日産、またはマツダくらいだと思う。
好み面では日産はフーガですらどうもボディーと足が別々な感じもいい悪いあるだろうし、マツダのボディー全体で曲げていくような感覚も好みがあると思う。
トヨタはもともと足は苦手なようだが、現行カムリーと比べても、トヨタはまだまだだなといった感じ。

結果、ベンツは、車に任せて、車が不愉快な挙動をしない範囲で走ると非常に良い

総じて今のところ、最初にサブタイトルに書いたように、決して日本に合っている車ではないし、最高の車でもない。
ぶっちゃけ、外車評論家界隈や外車のユーザーレビューしているような界隈が言っているほどすごい車ではない。
人馬一体感はマツダ・ロードスターにもRX-7にも、なんならMAZDA3にも及ばない。
先も言ったように、自分のことをよく理解している御者が操縦している馬車に乗っている感じである。
しかし、これはこれで優れている証明であり、それだけなの安心感が伝わってくる車でもある。


だが、それでも、決して悪い車ではなく、それこそ、メーカーの目指している車の違いの領域であり、
少し前に私がMAZDA3に乗った時に感じたように、その時点での「すばたしい車・いい車」に対する一つの答えにはなりえるものだと思いました。







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